こんにちは、心に届く手紙屋さんの一筆れいです。
忙しさにかまけて読書をさぼっていが、久々におもしろい小説に出会った。
それが、コレ!
「元彼の遺言状」
宝島社主催の第19回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した作品だ。
私はテレビ番組「セブンルール」ではじめて作者の新川帆立(しんかわほたて)を見た。
東大法学部を卒業、24歳で司法試験に合格した。弁護士として、企業間の金融取引を担当。弁護士をしながら執筆活動を続け、プロ雀士として活動していたことも。弁護士の夫がいて、家事のほとんどは夫が担当。小説はベットに横になって書く、などなど。
新しいタイプの小説家である。
チャーミングだし、これはチェックしないとと思った。
早速読んでみると、見事にハマった。
『元彼の遺言状』は、大企業の御曹司の元彼が残した「僕を殺した犯人に全財産を譲る」という奇妙な遺言状をきっかけに、女性弁護士が謎を解き明かしていくミステリーだ。
私はあまりミステリーを読まない。アガサクリスティじゃないけど、登場人物が多くて、覚えるのが大変。それに現実の方がよっぽどミステリーに感じてしまうからだ。
『元彼の遺言状』は、タイトルからしてキャッチ―、そそられる。
ちなみに原題は「三つ前の彼」だったそうだ。確かに「三つ前の彼」じゃ、演歌みたいだ。
何よりその主役の女性弁護士のキャラクターに魅了される。
強欲で「お金より大切なものなんてこの世にない!」と豪語。結婚を迫る今カレに「なんでダイヤがこんなにちっちゃいのよ!」突き返したりする。ともかく嫌な女なのだが、その求めるお金のケタがとんでもない額で笑えてしまうし、次第にその言葉の奥にあるものに気付かされて、逆に好感を持ってしまう人物設定なのだ。
相続や企業買収などは弁護士をしているだけに、お手の物なのだろう。さかず小説家になるために弁護士になっただけあると納得。
遺言をめぐって、いろんな人物が登場するのだが、よくかき分けられていて、煩雑さがなく、すんなり読める。さまざまなタイプの女性が出て来て、火花を散らす場面になるかと思うと、妙な連帯感が生まれたりして、清々しいのだ。
ミステリーを読んでこんな読後感になるのも珍しい。
次の作品にもぜひ期待したい。新川帆立、要チェックだ。
久々におもしろい小説に出会えて、読書って本当に楽しい!
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