こんにちは、心に届く手紙屋さんです。
葉のない枯れ枝のような木々の中に突然、白やピンクのこんもりとした霞がそこかしこに。
ここも桜、あそこも桜、この季節、日本は桜の国だとつくづく思う。
今年も私は、家の近くにある公園の桜で、お花見をした。お花見と言っても
ベンチに座ってほんの少し感傷に浸るだけなのだが。
この桜は、愛犬のみると一緒によく眺めた。山形から遊びに来た母もここに連れてきて
写真を撮ったりした、思い出の桜なのだ。
みるも母も天に昇っていってしまった。
以前、桜は死をイメージすると何かの本で読んだ気がする。
人の死を思う時、いつも思うのが、この世に居た人がいなくなるのは、とても不思議だということ。子供の
頃、「ゲゲゲの鬼太郎」のテーマソングを聴くと、いつも「私が死んだら、どこにいくのだろう」と考え
た。いくら考えても答えは出なかった。今も「私がいるからこの世界は存在する。それは意識があるから。
ならば私が死んだら私の意識はどこに行くのだろう」と思う。
そして、今の私は、そうした「意識」に関する研究は、人類すべてが求めている問いであり、宗教・哲学・
言語学・心理学・脳科学・医学・工学・物理学など、さまざまな分野で研究が進んでいるが、未だ答えが出
ていないことを知っている。
私たちが死者に対してできること。それは思い出すこと。思い出すと、たくさんのものをもらったことに感
謝しつつ、「もっとこうしたあげられたのに」という後悔の念ももれなくついてくる。誰かが「思い出すこ
とが供養なんだ」と言った。思い出さなくなると、その人は二度死んだことになるという。
桜が死のイメージの最たるものは、桜吹雪ではないだろうか。桜の咲いている時間は短く、やがてハラハラ
と風に吹かれて散っていく。その様は、この上なく美しく、一人ひとりの人生に重なる。そして、桜の季節
が終わると、木々の緑が一気に力をましていく。こうした自然の営みが営々と繰り返されている。桜には
「死」とともに「再生」の意味も込められているのだ。
一昨日、友人のお父さんが享年101歳で永眠された。最後まで意識がはっきりして、
家族に見守られながら眠るように生涯を終えられたという。
たくさんの感謝とともに、一世紀を超える見事な人生を心から讃えたい。
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