
心に届く手紙屋さんです。
かつて私は「ミル」というダルメシアンの女の子と14年間もの歳月を過ごした、幸せ者である。

黒く濡れたつぶらな瞳、ビロードみたいな滑らかな手触り、ひんやりとして揺れる耳、アスリートのように引き締まったボディ、そして何より白と黒のデザイン。その最高の美しさでもって、私の腕のなかに突進して来るときは、あまりの幸せで息が止まりそうになる。独特のにおいですら、愛おしかった。
そんなダルメシアンが6頭もいるカフェが東京・大田区にオープンしたという情報をテレビで知った。あの美しく、ゴージャスなダルメシアンまみれになれるのだ。どれほど遠くても、料金が高額でも「もういくしかない!」と決めて、3か月前に予約。とうとう7月1日に「決戦の日」がやってきた。


当日の予約時間は平日の11時。制限時間は50分。遅れてなるものかと、ダルメシアン柄の建物の前で時間前に待機。なんとラッキーなことに、私たちのほかは、女性が一人だけ。
時間が来てなかに入ると、もう一つの扉の向こうに、好奇心旺盛なダルメシアンたちが、私たちを待っていてくれている。いよいよご対面。まだ生まれて半年過ぎで、じゃれたい盛りのダルメシアンたちが、走り回り、プロレスごっこをしたり、ひっぱりっこをしたり。女の子1頭と、男の子5頭はきょうだいとのこと。そんな遊びたい盛りの彼らとスティックのひっばりっこをしたり、おやつをあげたりして、わちゃわちゃになって楽しむのだ。よくしつけられているもので、甘噛みはするが、決して強くかむことはない。ミルもそうだった。そして、犬種独特のものなのだろう。においは「みる」と同じだった。犬種独特のものなのだろう。


まだ子供だから、黒の斑点は少なく、白っぽい。これからだんだんに黒の斑点が増えてくるだろう。だんだん落ち着いてくるだろうから、ふざけんぼうなのは、今のうちだからかも。 あっという間の50分間、ダルメシアンたちに囲まれて、幸せな時間を満喫した。


帰り道、ミルのことを思い出した。
14年間、いろいろな出来事があった。初めて対面した時は、車の中だった。夫が「断り切れず、もらってきた」と言って車に載せてきたのは、小さくて、真っ白、まるで絵本から飛び出てきたような美しい子犬だった。
その前のゴールデンレトリーバー「ジェシー」が天国に旅立ってから、「もう二度と犬は飼わない」と決めていたが、この世のものと思えないような、美しい白い子犬を前に、もう一緒に暮らさないという選択肢はなかった。14年間、いろんなことがあった。最初は人なっこくて、近所の子供たちともふれあえたりもした。
しかし、東日本大震災の時に、だった一人で家にいて、恐ろしい揺れに見舞われてから、ほかの人を寄せ付けなくなった。でも私たち家族にとってはとっても愛情深かった。

今ダルメシアンはとても少なくて、手に入れるのは難しいそうだ。
素敵な時間と、たくさんの思い出をくれたミルに感謝だ。
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